XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

ジョー・ジャクソンが語る「この世には二種類の人間がいる。XTCのファンとそれ以外の人たち。憩いの時の至福はXTCの全12枚のアルバムを聴き直すこと」

 

f:id:xtc_the_best_band_ever:20210425100222j:plain

Joe Jacksonジョー・ジャクソン。1954年8月11日 生まれ。イギリス・スタッフォードシャー出身。ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック卒。アルバム『ナイト・アンド・デイ』の「夜の街へ(Steppin' Out)」が、1982年にビルボード誌で週間ランキング最高位の第6位。年間ランキングでは第36位。

ジョー・ジャクソン『今、聴いている音楽』

 XTC - 全アルバム

 

締めくくりとして、『今、聴いている音楽』の最後の音楽を紹介すると同時に、長年、書きたかった鑑賞について述べたい。この世には二種類の人間がいる。XTCのファンとそれ以外の人たち(つまりこれから書くことは読まない方が良い人たち)だ。

 

ここ数ヶ月の間、くつろぎの時間の至福は、このどのカテゴリーにもはまらないバンドが1978年〜2000年にリリースした全12枚のアルバムを聴き直すことなのだ。また、バンド自身とネヴィル・ファーマー氏による『XTC - Song Stories』と、アンディ・パートリッジが選曲した自分の曲についてトッド・バーンハート氏に語り、興味深く愉快なエピソードを延々と続ける『Complicated Game - Inside the Songs of XTC』という2冊のXTCファン必須本にも読みふけっている。アンディはとてもひょうきんな人で、バンドを十数組作るのに十分なくらい大量の音楽のアイデアで溢れている。また、奇跡的にも、コリン・モールディングも登場する。コリンは、あまり多作ではなかったが、優れたソングライターで、各アルバムの3~4曲は彼の曲で、それを僕はいつも楽しみにしていた。彼はXTCジョージ・ハリスン的存在であり、ポール・マッカートニー的要素も少し含まれていて、さらに卓越したベーシストでもあった。

 

今、振り返って考えると(おこがましいだろうが)、XTCの作品は大まかに4つの時期に大きく分けられるのではないか。初期の2枚のアルバム『White Music』と『Go 2』では、まるで『宇宙家族ジェットソン』のレトロな未来的サウンドトラックを作る粗野な若いポップパンクバンドのようだが、素晴らしい曲もある。しかし、これらの2枚をよく聴いてみると、彼らが時間の経過とともに、もっと興味深いバンドになっていくのが想像できる。当然、実際にそのようになっていった。

 

そして、第2の時期が始まる。キーボーディストのバリー・アンドリュースが脱退し、デイヴ・グレゴリーという主にギタリストでありながら、ピアニスト、アレンジャー、そして日に日に野心を増すバンドに欠かせぬ能力を備えた何でも屋を採用した。今や手ごわいライブギグマシンと化したXTCは、『Drums And Wires』、特に『Black Sea』で、より逞しく、より洗練された曲を書きながら、自分たちのサウンドを強化していった。特に『Black Sea』は批評家からも賞賛を浴び、商業的にもヒットし、今でも多くのファンのお気に入りのアルバムだ。

 

次のリリースである興味深く冒険的な2枚組アルバム『English Settlement』は、立ち位置的に第2の時期に片足、第3の時期にもう一方の足を置いているように思える。この時期、XTCはツアーバンドを引退し、ドラマーのテリー・チェンバースが脱退した。それ以降、彼らはアルバムごとに異なるドラマーを起用するようになった(知る限り、『Nonsuch』のデイヴ・マタックが最高だ)。 XTCはよりクリエイティブなスタジオ・バンドとなり、『Mummer』ではより内省的でアコースティックな牧歌的な側面を、『The Big Express』ではよりノイジーな側面を見せている。この時期はXTCの過渡期であり、確かに素晴らしい音楽的な要素がたくさんあったものの、特急”XTC”は少し息切れしているのではないかと当時の僕は考えていたことを覚えている。

 

その考えが完全に間違っていたことを思い知ったのが『Skylarking』だった。プロデューサーのTodd Rundgrenとの「困難な」スタートであったことはよく知られているが、結果的には傑作だったのだ。本作品は、XTCの成熟期の始まりだ。彼らは期待(というか僕個人の期待)をはるかに上回り、今までのXTCのように単に賢くて楽しいだけでなく、しばしば感動させられ、刺激を与えられるような作品を生み出したのだ。(また、『Skylarking』は、おそらくコリンの最高傑作となる彼の5曲を収録)。こんな傑作品の後にどんなアルバムを出せるのか?彼らがやったのは、大きなスケールの、目映く、キラキラした、自信溢れる2回目のダブル・アルバム『Oranges and Lemons』だった。僕は当時、「この野郎たち、またやってくれたな!」と思ったことを覚えている。

 

そのアルバムの後、一体誰が予期しただろうか。再び、『Nonsuch』というダブル・アルバムが発表されるとは。即時に魅了される作品ではないかもしれないが、何度も繰り返して聴きたくなる宝庫だ。XTCのアルバムから好きなものを選ぶ行為は、爪を引っこ抜かれるほど苦悶を伴うが、もし、どうしても選ばねばならぬ事態になれば、暫定的に…仮に...可能性として…たぶん…おそらく…『Nonsuch』だ。

 

その後、XTCはヴァージン・レコードとの不幸な契約から抜け出すために戦いながら、各々個人的な危機に対処するために5年間の活動休止に入った。そして、やがて手に負えないほどの曲の山を抱えて活動を再開した。論理的に考えて、それらの曲の山を2枚の山に分けたわけだ。 『Apple Venus』は、XTCのアコースティック/オーケストレーションの傾向を新たな高みへと導く、どちらかというとシリアスで極めて美しい作品。 一方、『Wasp Star (Apple Venus Part 2)』は、よりシンプルでハッピーな、「基本に忠実」な曲が収録されている。二枚を合わせて考えると、XTCの最高傑作と言える。だが、1年ずつに分けて、対照的な2枚のアルバムとしてリリースすることで、それぞれの作品から何かを奪ってしまったような気がしてならない。自分的に引っかかるのが本当にそこなのかどうかは謎だ。この二枚のプロジェクトがXTCの最後の作品になると知りながら聴くことで回顧的なメランコリーな気持ちになるからかもしれない。

 

XTCは永久に消えたように見えるが、アンディが好きであろうSpinal Tapの言葉を借りれば 彼らが残したレガシーは生き続ける。XTCについて好きなものはたくさんある:はみ出し者たちの不器用さ、常に存在するユーモア、否応なしに純粋なポップのキャッチーさ、ひどく突飛なアイデアを嬉々として混ぜ合わせたサウンド、創造的な野心、自分たちが愛する音楽を些細ながらも巧妙に取り入れるところ、そして英国人らしさ—— それは、ロンドン風のクールさではなく、時代を超越した田舎の小さな町の英国人らしさ—— など。もっともっと言いたいことがあるし、個々の曲について述べることもできなかったが、言い始めたらどこで止めたらいいのかわからなくなるから止めておこう。僕が音楽について書いてきた大半の内容と同様、ここに書いたのは単なる鑑賞であり、興味を持つ人への道しるべである。

https://twitter.com/PopNaTweet/status/1178291016673222656?s=20

https://twitter.com/PopNaTweet/status/1178295565198745601?s=20