XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

テリーチャンバーズの2002年レアインタビューPART1:「影響はヘビメタ系。ヒーローはビル・ブルーフォード」「XTCはドラムとベースがスタートとストップを同時に出来るタイトなバンドだった。大抵の優れたバンドはそれが出来る」

テリーチャンバーズの2002年

レアインタビューPART1

 冷えたビールを片手にリラックスしXTC時代を遠い目で語る

 

July 5, 2002 by Todd Bernhardt

原文はここで → http://chalkhills.org/articles/TBTerry20020705.html

 A conversation with Terry Chambers

 

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土曜の暑い午後、ニュー・サウス・ウェールズニューキャッスル近辺にある自宅で、テリーは冷えたビールを片手にリラックスしXTC時代を振り返る。

 

7才の頃からサッカーをやっていたが、14になって他の事に関心が移った。 1968-69年の頃、音楽的には、多くのヘビーメタル系が出て来た時期だった。ゼッペリンとかディープパープル、ブラックサバス等。 当時のヒット曲はキンクスの"You Really Got Me"だった。 それが、彼の心を捉えた。

 

69年には、スポーツへの興味は薄まり、音楽と異性の方に関心が高まった。

 

TC(テリーチャンバーズ): 音楽と女の組み合わせの方が、女とサッカーの組み合わせより相性が良いですからね! 69年には、ご存知のようにジミヘンが登場してセンセーションを巻き起こしていたわけです。

 うわ! 彼は、ただギターをつま弾くんじゃなくて、ギターをバンバン叩いて(笑)、エクスペリメントしていたんですよね。だから、単なる6弦でいくつかのコードを弾くんじゃなくて、とんでもないくらい最大限に実験してたわけ。

 本当は、ピアノを弾いてみたかったのだけど、親父にそんな高価な物は買えないと言われた。多分ピアノなんて男らしくないと思っていたんだと思いますね。相当の酒飲みでね。僕はそれを受け継いだんだけど(笑)。昔は、飲酒運転は許されていたんですが、親父もそういうことやってました。しかも、タクシー運転手だった! [爆笑]

 自分ちは誰も楽器など弾けるものはいなかったです。アンディのうちとは違って。あいつの親父さんはドラマーでしたから。ジャズドラマーで、良い人でした。

 土曜の朝、映画に行く途中で楽器店を通り過ぎた時、窓から店内にあるぴかぴか光るドラムキットが目に入ったんです。古いブロードウェイキットだったんですけど。物凄くカッコよくて、色はブルーで、クロームで、光を放っていたんです。いくらだったのか忘れたけど、ピアノよりは全然安かったのは確かでしたね!

 そのドラムキットを買うために安いアルバイトを始めたんですが、手に入れるには十分の稼ぎでした。

 姉貴が古いモノラルプレイヤーセットを持っていたんですけど それでレコードを掛けて、ドラムをどうやってプレイするのか聴いたんです。それで、”ここのドラムは何をしているんだろう?” ひとりでブツブツ言いながら聴いてるドラムをマネしてるわけ。“こんな感じかな....いや、違うな” バスドラムと、スネア、タム、その他のドラムキット一式のそれぞれの違いを知ろうとしていたんですね。

 それで、やっと少しずつ分かってきて、スネアを叩くべき所でビシ、ビシ、ビシと叩けるようになっていったんです。 ちょうど、数字をふって、その順番通りに叩いて学んでいくみたいに(笑)!ようやく、“今、こいつを叩いて、それから今度はこいつを叩いて、ドンドンドン、今度は下の方で叩いてるな”という所まで辿りつけたんです。 どこをどう叩いているのか分かるまで耳を訓練しなくちゃいけなかった。コピーするのに、チッコいレコードプレーヤを何度も回しつづけたんです。

 つまり、少し聴いては叩き、聴いては叩き、を繰り返して。 というのも、その当時は、まだヘッドホーンなんて聞いたこともなかったし。変だけど。そういうものはずっと後に出て来たからね。正直言って、多分レコーディングスタジオに入る前は一度も見たこともなかったはずです。だから初めて見たときは、“これ何だ?”って感じで。“ステレオ天国! 金が入ったらすぐにこいつら買わなくちゃ!” (笑)

 

影響を受けたのは、ヘビメタ系。ビル・ブルーフォード、ブラックサバスのビルワード、シンリジーのブライアンドウニー

 

影響を受けたのは、ヘビメタ系。レッドゼッペリン、ディープパープル、シン・リジー。リストにすればキリがないです。イエス、エマーソンレイク&パーマーみたいなタイプのバンド。 キング ・ クリムゾン。 (中略) あんな風に凄いプレイが出来るようになる前には俺はもう年老いてるぜ” なんて思ったわけ。実際、年老いたけど、未だにあんな風にプレイ出来ませんから! (笑)

 

TB(インタビュアー): テリーに最も影響を与えたドラマーは誰でしょう? テリーが今挙げた、イアンペイス、ジョンボーナム、ビルブルーフォード、カールパーマー…

 

TC: ビル・ブルーフォードですね。後は、ブラックサバスのビルワード、シンリジーのブライアンドウニーも挙げておかないとね。ピンク・フェアリーズってバンドは世界的には成功は収めなかったが、ホークウィンドと並びアンダーグランドバンドとして活躍したんです。アンディパートリッジが通ったスウィンドンポリテクニックスクールでのギグを、何度も観ることが出来ましたね。そのバンドに2人のドラマーがいて、ラッセルハンターとトゥウィンクという名前で、二人ともドラムとリードヴォーカルを兼ねて担当していたんです。

 

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あの二人には物凄く影響を受けましたね。ヘビメタより更に粗々しい感じのドラムだったんです。 彼らはジミヘンに多大なる影響を受けており、エコー多用のギターみたいな。

 

(中略)

 

TC: そう。 自分がどういうプレーヤーだったかわからないな。コリンに尋ねてみないと。コリンと一緒にプレイすると、二人同時にちょうど良いタイミングで始まり終わるわけ。すごい気持ち良い感じでした。

 

TB: バリーアンドリュースが加入した時はどんな感じでしたか?

 

TC: アンドリュースは僕らよりややパンク寄りでね。 考え方が本当にロンドンっぽくって。僕らは別にそれに反対だったわけじゃないですが。だって、結局、活発なシーンはロンドンだったんですから。だから、僕らは“うーん、こいつの考えは正しい方向だな”と思っていましたね。 あいつは、僕たちのイメージよりはもう少し革ジャンとかラモーンズ系のイメージだった。と言うか、そもそも僕らにはバンドのイメージなんてものなかった! [笑]

 

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(中略)

 

思うに、アンドリュースはギターをやってたら良かったんだよね。あいつこそギターリストってイメージがあったから。 キーボードだと、ステージ上でのアクションが制限されましたからね。 ギター弾きながら、ステージの床に膝から飛び降りてスライドするみたいなさ (笑)。そんな事、あのクソ重いセミアコースティックのアップライトピアノじゃあ無理でしょう。 ステージ上で持ち上げるには世界一重い楽器だったのは確か!

 

ああいう、突拍子の無いキーボードサウンドが流行っていた。当時は、本格的パンク、ピストルズとかダムズ、クラッシュみたいなギター中心のバンドがいて、それとはわずか離れた所に、キーボードプレーヤーを含むエルビスコステロストラングラーズみたいなバンドと並んでXTCが存在していたんです。 だから、あのころは、ギターバンドか、または、キーボードプレーヤー付きのギターバンドかどちらかを取るしかなかった。

 

TB: そう。 ややメロディー重視の、ですね。

 

TC: だから、キーボードプレーヤーがいれば、キーボードをめちゃめちゃに壊したりしていた。許されたわけです。 ただし、キーボードがあると、ちょっとパンクらしさに欠ける。そりゃあ、キーボードを弾けるくらい知性があるってことは、おまえは本物のパンクじゃないぜって事だから(笑)。だから、“ちょっと、待てよ。こいつって正式な音楽の教育を受けてるぜ!”

 

反対にピストルズなんかだと、ギター志向のバンドだから、ただステージに立ち、音程が外れようがお構いなしで演奏しまくるわけ。 キーボードプレーヤーがいると、それこそ音程とか外れないようにか気を付けるんです。

 

XTCは、ドラムとベースがスタートとストップを同時に出来るタイトなバンドだった。大抵の優れたバンドはそれが出来る。

 

バスドラムとシンバルを同時に打ってシンバルをつかむことが出来れば -- わかります?例のこういうやつ(シンバルチョークのマネをする)。あと、ハイハットを同時にクローズすることで、タイトなフィニッシュになるんですよね。あえて言うと、“もっとタイトでシャープであればあるほど良い。

 

TB: バリーの独特のサウンドに加えて、アンディのギターも物凄くクセのある不協和音のギターだし、テリーはテリーで、コリンと共にストップ・スタート・アクセントを多用し非常に強調されたタイトリズムセクションという、XTCのリズムを生み出したんですよね。

 

TC: そうそう。でも、アンディがそういう曲を書いたから、そういうサウンドになったというのはわかりますよね? XTCの楽曲を聞けば、そのようなサウンドはギターから生まれたのがわかりますよ。いわば、“スタートとストップを同時に出来ればタイトなバンドだ”というわけ。大抵の優れたバンドはそれが出来る。

 

バスドラムとシンバルを同時に打ってシンバルをつかむことが出来れば -- わかります?例のこういうやつ(シンバルチョークのマネをする)。あと、ハイハットを同時にクローズすることで、タイトなフィニッシュになるんですよね。あえて言うと、“もっとタイトでシャープであればあるほど良い。” 

 

あの頃、ちょっと皮肉だったのは僕らはダンスバンドを目指していたということ。おそらくXTCにとては最もあり得ないイメージでしょ。痙攣みたいなダンスならともかく… どうやってXTCの曲でダンスするのか謎ですが。

 

TB: でも、アンディは常に“ダンス”ソングを書こうとしていたんですよね。例えばSpinning Topとか...

 

TC: ええ、そう。 アンディは、おおまじめにこの曲で踊れると考えていたようです。 僕はまったくそう思わないんですが… [笑]

 

TB: Neon Shuffleもダンスソングになるのでは…

 

TC: そうですね。確かにNeon Shuffleは、リズムを良く聞けば、ダンスソングをベースにして作られたと言えます -- リズムという点では。思うに、フォートップのリズムのスピードアップ版のような。 そのように考えられる。

 もっと解析するならば、スピードを上げたモータウンリズムって感じに思えますね。

 

TB: 興味深いですね。

 

TC: ええ、あのスネアドラムのリズムが。あのビートが、そう思わせますよ。

 

TB: 四拍子でプレイされる場合を除いて。

 

TC: そうそう。 まあ、元々、Neon Shuffleを、フォートップスのどの曲だろうが同等と見なす事自体、ヤクでハイになってでもなければ出来ないことだけど(笑)。

 

その2をお楽しみに~