XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

アンディ・パートリッジがジョン・レノンを語る「レノンが最も得意としたコメディとシュールレアリズムは彼の発言、歌、文章のすべてに感じられる。ちょうど金太郎飴みたいなもので、どこを切ってもレノンが出てくる」

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アンディ・パートリッジがジョン・レノンを語る。

レノンの最も得意とするコメディとシュールレアリズムは彼の発言、歌、文章のすべてに感じられる。ちょうど金太郎飴みたいなもので、どこを切ってもレノンが出てくる。

 

レノンの散文等の文章は凄く面白いんだけど、同時に残酷だったというが...。

"そこが面白かった "とパートリッジは主張する。"最近だとポリコレに反する表現だとして非難を浴びるだろう。レノンのユーモアが単に『俺の嫁をやるよ』みたいなものだけだったら、居眠りしたくなるほど退屈なだけでしょ。そうじゃなくて、レノンのユーモアは面白いと同時にショッキングだったわけ。顔面殴打付きのユーモアだったから、より深く印象に残った”

 

"コメディとシュールレアリズム、それがレノンの最も得意とするところだった"とパートリッジは続ける。"それは、彼の発言、歌、文章のすべてに見いだされた。会話の中でもそれが感じられる。ブライトンの棒飴(日本の金太郎飴のようなもの)のようにそれが焼印されていて、どこを切っても出てくる。その棒飴に印された文字は"ブライトン”ではなく"レノン”。どこを切っても"レノン”という焼印が出てくる。それが彼の考えるシュールなユーモアなんだよ”

 

 

"ジョンはメロディを見つけると、わざわざメロディを変えるんじゃんなくて、その下のコードを変えて同じメロディを保つ”とパートリッジは付け加える。"それを、刺激的で興味深いものにするため、『We Can Work it Out』や『Happiness is a Warm Gun』のようなワルツのテンポの曲を思いつくわけ”

 

"時々、レノンと話をしてる夢を見る "とパートリッジは明かす。"彼のユーモア、風変わりなところが大好きだった。テレビのインタビューを見たり、『ハード・デイズ・ナイト』や『ヘルプ!』を見たり、彼の本を読んだりするのが大好きだった。レノンからsmartassになることを学べて感謝している"

 

注記:smartass(直訳:賢いお尻)とは頭の回転が速く、質問に対して、意表を突くような、ひとを食ったような、面白くて機転の利くことを言い返せる人。イメージとしてはジョンレノンのことを指しているんだけど、日本人で言うと成田悠輔をもうちょっと荒っぽいストリート系にした感じの面白くて皮肉っぽいけど痛いところを突いてる鋭い言い返しが出来る人。

 

和訳アンディ・パートリッジのファンとの質問コーナー(1999年アップルヴィーナスプロモ)人前で話すのが苦手なアンディあがりながらも裏話や下ネタジョークを飛ばしながら様々な質問に答える「音楽業界についての助言?銀行員になりなさい!!(爆笑)今すぐ!音楽業界には金は無いよ!(爆笑)」

 

youtu.be

 

2:00から〜

 

何も準備していないんですよ。こんな体験生まれて初めてなんで。(笑)慣れてないのでみんな我慢してね。この椅子良いね。ロッキングチェアーだったら良いのに、みんなに本の読み聞かせ出来るのに。“彼女は星の降る夜に亡くなりましたとさ”。(爆笑)

 

ええと、何をしましょうか?質問コーナーでもする?本当に誰も詳しいことを教えてくれなくて。単にボーダーズ(書店名)に行ってくれと言われて来ただけなんです。(爆笑)冗談抜きで。それで来たんですよ。

 

(戸惑いながら)えーと、質問コーナーをした方が良いよね。サインペンが飛んでくる前に。もう一本マイクありますか?無い?じゃあ、みんなが質問を叫んで、僕は叫ばなくて良いんだね。

 

Q1. Apple Venus Vol. 2(『ワスプスター』)に入れる曲が足りないかもしれないと聞いたんですが。

A. Vol 2の曲が足りないって?いやいや、約42曲とかあるんですよ。それでコリンも僕もこれ以上書きたくないと思って。だって、トイレに行きたくなる前に一体どのくらい食べたら良い?(爆笑)Vol. 4まで作れる曲が十分過ぎるくらいあるんです。だからVol. 2で止めておこうって。その後は新たに曲を作る。曲が不足するなんてことないから心配しないで。

 

Q2.作詞家としての自分を代表する歌詞はどれですか?

A.(考え込んで)これはちょっと難しいねえ。(爆笑)自分自身を揺さぶる歌詞であっても、他人は何も感じない歌詞かもしれないから難しい。困るのは、きっとみんな僕のことを"オオーオオー、マイスタチューオブリバティー”を書いた人だと覚えてるだろうな、って。(爆笑)多分、Rooks, Wrap in Grey, Easter Theatreとかかな。最終的には"安らかに眠れ”が僕の代表歌詞になると思う。(爆笑)

いつも自分の墓石に刻む文字は何だろうって考えてるんだけど、“だから俺、重病だって言っただろう”、(爆笑)“君のスカートの中丸見えだよ”、(爆笑)あるいは、ただ”どけっ!”かも。(爆笑)

 

Q3.マーティン・ニューウェルとの出会いは?

A.マーティンが次々にデモを送ってきて、“誰これ?”って思って。

 

(赤面して)ちょっと待って、すごいあがってるんです。許して。こんなことするの初めてなんで。脱げば良くなるかな。(観客からストリップ音楽が…)ありがとう。(爆笑)

 

マーティンの曲を聴いて良いなと思って、彼から電話があって、うちの裏庭レコーディング小屋に呼んでコラボとなったんです。彼も離婚の最中、僕も離婚の最中、お互いに慰め合いながら、ギター弾いて“あのビッチ!あのビッチ!”って一緒に。(爆笑)(拍手)そういうのやるでしょ?楽だったし、楽しかったです。(まだ緊張している様子。)

 

Q4.7インチをリリースしたThe Spiesという覆面バンドはXTCだったんでしょうか?

A.僕らじゃ無いです。その7インチは僕らじゃないので、交換するか、売るか、フリスビーで飛ばして。

 

Q5.クリス・ディフォードの例の話について教えてください。

A.うわあ。(困った様子)これは退屈な長い話なので、退屈な短い話にしますね。クリスと一緒にアルバム用の曲を作ってたんです。

 

本当に緊張してるんです。僕をじっと見ないでください。(爆笑)

 

ソロアルバムのためにクリスと曲を書いてたんですが、彼のスタジオに招待されて行ったらともて素晴らしいスタジオで。大きな納屋みたいで広くて。“スタジオ使用料はいくらなの?”って聞いたら、1日250ポンドだって言うので素晴らしいと。通常はイギリスのレコーディングスタジオ使用料は800〜1000ポンドだから。スタジオの時計の針は10ポンド、20ポンド、30ポンドって刻むんですよ。(爆笑)広いし、安いし、借りることになってXTCApple Venusのレコーディングをするため彼のスタジオに行ったんです。

 

ところが、ミキシングデスクが解体されていて、フロア中にパーツが散乱していてレコーディングが出来ない始末。4日間いたんですが、クリスはその間、気まずそうに謝るばかりで、結局僕らはスタジオを去ったんです。

 

その後、クリスから電話があり、XTCは自分の大好きなバンドだ、罪滅ぼしに10日間無償でスタジオを提供するからもう一度来て欲しいと言われて、また行ったんです。でも、状態は変わっておらず。

 

9日目に突然、クリスがスタジオ使用料を請求するって言い出して。なんだってと。しかも最初に聞いた使用料からかなり値上げされていて。もう引き上げようと言うことになって、エンジニアに給料を払って、スタジオから荷物を片付けている時、これは後で知ったんですが、クリスがこっそり僕らのテープを盗んで行ったんです。未だに返して貰ってません。(注:数年後にTwitter上でクリスからアンディに例のテープを送るよと言っていた。その後、実際に送ってきたとのこと。)

 

テープがないので、僕らはまた一からアルバム制作する羽目になり、スタジオ使用料は、僕らが1回目に行った時はスタジオ機材がどれも使用出来る状態では無かったので請求されず、2回目はクリスが無償で提供してくれるというのでまた行ったのに、突然、使用料を請求してくるし。僕らのオリジナルテープをどうしたのか分かりません。もしかしたら、マクラーレンのソファを作ったかもしれない、あるいは、彼が怪しい織物の服を着ていたら、それかも知れません。

 

Q6.レジデンスに会った感想は?

A.とってもレジデンシャルでした。誰も目玉を被ってませんでした。(爆笑)ちぇっ、目玉被っていて欲しかったのに。(爆笑)スタジオに連れて行かれて、何でも良いから歌ってと。メロディも何も教えて貰えず。歌詞をもらって歌っただけです。ミステリーでした。パートタイムのレジデンスメンバーは楽しかったです。

 

Q7.もう一人ギターリストを探しているんですか?

A.ギターリスト連れてきてるの?(爆笑)空気人形のギターリストかな。(爆笑)僕がギターリスト担当になると言うことだと思います。ギターは好きなので。痙攣っぽい手だけど、出てくるサウンドは興味深いからね。デイブと比べると熟練度は劣るけど、ぎこちないけど、興味深いギターサウンドだと思います。やった〜!ギターリストになれるぞ!

 

Q8.レコード契約等におけるバンドへの助言は?

A.銀行員になりなさい。(爆笑)今すぐ!音楽業界から身を引くことです!(爆笑)この業界にはお金はありません。XTCが遂にバージンの邪悪の爪牙から解放された後、ムハハハ!(サタンの笑い声と仕草を真似しながら)(爆笑)、床から照明を当ててほしいな。僕は悪役の笑い声が得意なんですよ。ムハハハハ!(爆笑)(大拍手)

 

ニューヨークに行って、電話帳のレコード会社に片っ端から電話をして、僕らは今デモを沢山持っているんです、興味があれば会ってくれませんかと。それでレコード会社に行って、契約の交渉で“君らバンドはこれだけの取り分だ”(紙の端切れ)(爆笑)、“こちらが(残りの紙)我々の取り分だ”って。というか、(大きい方の紙を3分の1破って)ストアーはこれだけの取り分。レコード会社はこれだけ、バンドはこれだけ。(爆笑)ほとんどのレーベルがそうです。

 

誰だったか忘れましたが、“バンド”を名乗るではなくて、“レコード会社”として名乗るべきだって言ったんです。それで、さっきのレコード会社を再度訪ねて、僕らはXTCを代理するアイデア・レコードだと名乗ったところ、“わかった、これだけあげよう(紙を半分破って)”って。(爆笑)(拍手)教訓としては「盗人にも仁義あり」。レコード会社はバンドを食い物にするけど、レコード会社を食い物にはしないということです。だから、バンドじゃ無くて、レコード会社だと名乗るべき。

 

Q9.また、マーティン・ニューウェルとコラボする気はありますか?

A.ここはエコーが良く効いてるね。(爆笑)うん、マーティンがまたデモを送ってくれたからね。今、誰が言ったの?バイブレーションを感じる。はい、デモを送ってくれたんで、是非やりたいですね。ウィジャボードを使って送っても良いよね。(笑)

 

そろそろサイン会の時間だって。だから、質問はあと少し。

 

Q10.僕の兄はギターを弾くんですが、どんなミュージシャンのチューニングでも解くことが出来るんですが、アンディのだけがほぼ不可能だと言うんです。どういうチューニングなんですか?

 

A.XTCのいくつかのアルバムではオルタナティブチューニングをしています。これは認めるのが嫌なんだけど、Big Expressでは、オープンDチューニングなんです。非常に古いブルースのチューニング。♬今朝起きたらブルー気分だった♬(爆笑)あのアルバムでは面倒くさくて、曲を全部書いて、1弦が切れちゃったんだけど、面倒だから交換しなかった。(爆笑)だから、あのアルバムは5本の弦で弾いて書いたんですよ。ブルースのチューニングでね。

 

Q11.アメリカに来てどうですか?

A.すこぶる快調ですよ。快調すぎるくらい。7日間、平均して5時間しか寝ていません。朝6時半、さあ行かなくちゃ、あわわわ、って。食べてる暇もない。今回のアルバムは過去数枚のどのアルバムよりインタビューとプロモをやっています。コリンは昨日までいたけど、飛行機で家に戻って、また、この後ロスでまた合流します。

(会場のファンが“そうです!”と言うと)、貴方は何で知っているの?(爆笑)このイベントのこと知ってるの?

 

次はそのコート着ている人。そう、貴方。(爆笑)今、振り返ったよね。後ろにもコート着てる人が沢山いるからね。

 

Q12.このアルバム以外に今までの作品で好きなのは?

A.歌でもアルバムでも?Books Are Burningかな。本がもう好きで好きで。でも、肉欲の愛じゃないよ。(爆笑)興奮しないで。でも、もし本が程よい大きさだったら、こうやって丸めて押さえ込んで...。(爆笑)Books Are Burningが好き。本が大好きだから。あとは、Rooksも好き。凄く感動したんですよ。どこからあの歌が舞い降りてきたのか分からないけど。凄く恐怖を感じましたよ。Easter Theatreも大好き。River of Orchidsも!あの曲を作った時、すっごい興奮しました。クライマックスに近いくらいの興奮。(クスクス笑い)。(さっき破った紙をどけて)レコード会社はこっちにどけよう。

 

後はSeagulls Screaming Kiss Her Kiss Her。あれは初めてキーボードで書いた曲なんです。お客さん用の寝室に置いてあったメロトロン….まあ、告白なんだけど、メロトロンを寝室に置いてあったんです。(クスクス笑)これが自分のキーボードテクニック。これが僕に出来る最大の洗練されたキーボードテクニックなんです。あっちの手はこうやって、音を奏でると、こっちの手で何をやっているのか忘れちゃう。(爆笑)

 

僕の『段ボール紙の手』の話はファンの間でも有名だと思うけど、本当なんです。キーボード弾けないので、昔、段ボール紙で手の形をくりぬいたんです。先にネタバレしちゃったなあ。(爆笑)キーボードでかっこいいコードの形を探してたんです。ある日発見したんですが、僕は原始的で面倒くさがりなんで、鍵盤にナンバーや文字を書いてたんです。で、素晴らしいコードの手の形を見つけたんですけど、どうしていいのか分からない。それで、その手の形のまま、(裏庭のレコーディング小屋から)家に走っていき、段ボール紙を見つけて、ペンでその手の形をなぞって描いたんです。その手の形を切り抜いて、急いでレコーディング小屋に戻って、鍵盤の上にと置いたんです。“スゲー!”っと思ったんです。

 

質問はあと2,3個だけね。この人にぶっ刺されるから。(爆笑)

 

Q13.音楽以外で何か販売してる物ありますか?

A.トイソルジャーを作っていて、買えるよ。趣味デ作ってるから、トイソルジャー億万長者になるつもりはないよ。(省略)

 

Q14.ルイ・フィリップのI Can't Own Herのカバー聞きました?louis philippe / i can't own her

A.アメリカに来る2日前に聞きました。凄い良いと思いました。僕らのとは全く異なるけど。(省略)

 

Q15.台所用具に生まれ変わるとしたら何になりたい?

A.それを言っちゃうと罪を明かすことなるなあ。例えばブレンダーに生まれ変わりたいと言ったら、永遠ににんじんをお尻の穴に突っ込んでいたいことを自白することになっちゃうし。(爆笑)笛吹きケトルになりたいと言えば、永遠に口笛を吹いていたいということになる。テーブルかな!頑丈で頼りになるテーブル。夕飯を乗せて、テーブルの下で足を絡めてイチャイチャする。(爆笑)

 

デイブ・グレゴリーの最新インタビュー「アンディにXTCコンベンションに一緒に参加しようと説得中」「XTCを救ってくれたのは間違いなく音楽の質の高さ。アンディ無しではXTCは存在し得なかった」

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1/2022

 

"ロスでチャリティーイベントに参加した時、参加ミュージシャンの大半がXTCの大ファンで、誰かがMayor Of Simpletonを演奏し始めると瞬く間に大人数の熱狂的な大演奏となった!彼らのXTCへの愛の深さにビックリ。それまでのXTCの苦労が報われた気持ちになった”

 

XTCとヴァージンとの契約書は”全費用はXTCが払う。全所有権は永遠にヴァージン”というものだった。それなのに、彼らはマスターテープを見つける事も出来ない。(注:XTCのPVでさえ費用はXTCが払った)

 

NonsuchとOranges & Lemonsはオリジナルよりスティーブン・ウィルソンのリミックスが優れている。

 

アンディとコリンがソングライターだから取り分が大きい。でも、もし自分がバンドのソングライターだったら、ギターソロ等の極めて楽曲への大きな寄与がある場合、自分の印税の半分を付与すると思うけどね。U2だと収入は全て平等に分けている。それで世界一裕福なバンドになった。REMも同じ。平等に分けている。トーキングヘッズは誰がどれだけ分け前をもらうのかで内輪揉めしてたよね。

 

自分は質素なんで、いつも身の丈にあった生活をしてきた。15年間は上に2つ、下に2つの部屋の家に住み、その後、25年間は今の家に住んでいる。きちんとお金を貯金してきたので、今はもっと大きな家に引っ越すこともできるけど、今の高騰している住宅事情ではそれはできない。

 

アップルヴィーナスはオーケストラ風アルバムで、ワスプスターはロックンロールアルバムとして、元々一緒に2枚組で出すアイデアだった。アップルヴィーナスのアルバムのレコーディングで、僕とアンディの仲が悪化した。1997年の話だけど。アンディがこのアルバムはオーケストラでやるって言った時、つまり僕がピアノ担当、ストリングスのスコア担当となるのかと思った。それはもの凄い時間が掛かることを意味していた。自分はやりたくなかった。仕方なく2,3ストリングスの楽譜を書いてみた。でもアンディはあまり満足しなかった。僕自身、良い出来ではないと知っていたが、やる気が出なかった。

 

アンディが頑固で、レコーディングを開始するに当たって他のメンバーと意見が合わず、困難な状況だった。その状況に関して僕らを責めたてた。それはフェアじゃないと思った。

 

チッピング・ノートンのスタジオだったんだけど、楽しく出来たアルバムではなかった。遂に僕はアンディと最後の大喧嘩をして、「もういい。好き勝手にやってくれ」と言ってスタジオを去った。二度と戻らなかった。完成したアップル・ヴィーナスのストリングスは素晴らしいよ。美しいアルバムだ。でも、アンディの“ソロ・アルバム”なんだよね。

 

ワスプ・スターは16ビットのデジタルレコーダーを使って録音したんじゃないかな。このアルバムは実は聴いたことがない。憎たらしいから意地でも聴く気にならない(笑)。でも数曲こっそり聞いて、良い曲があるのは知ってる。Maypoleを聞いて、この曲の録音に参加しなかったことをとても残念に思ったし、We’re All Lightのデモを聞いて凄い良いと思った。アンディは僕がこのプロジェクトから去ったことをいまだに許してくれていないと思う。

 

アンディともコリンとも何年も会っていない。アンディとは必要に応じてメールでメールの交換はしている。コリンとは喧嘩したんでまったく連絡を取っていない。

 

アンディがワスプスター以降、一枚もアルバムを出していないことにはガッカリしている。合計何時間にもなる曲を作ってるんだよ。でも、パラノイアになっていて…。つまり、アンディは何をやろうと、世間から、“ああ、良い作品だ。でも、XTCの作品を超えていない”と言われるのを恐れている。時間と努力を費やしてアルバムを作ったところで、XTCのアルバムほど良くないと批判されるだろうと恐れているわけ。

 

アンディは元々怠け者。作曲が大の得意だけど、そんなに努力しなくても自然に曲が湧いてくるんだ。寝ていても作れると思う。とにかく、アンディの意見に同調しやすく彼のやろうとしている方向性を理解してくれるミュージシャンを見つけて、これとこれをやってと指示出来ればアンディはレコーディング出来るんだよね。今は彼は持病の耳鳴りがあるから、ドラムキットを聴くのは辛いと思うけど。

 

なんとか、アンディに頻繁に行われているXTCコンベンションに一緒に参加して記念写真だけでもファンと撮ろうよと説得してるんだけど、ファンが大勢来てるしとか色々言い訳を付けてウンと言ってくれない。この際、リバース・サイコロジー(やるなと言われると逆にやってみたくなる心理を利用する)で、“コンベンションではアンディに会いたいファンなんていないよ”、とか、“おまえみたいな老いぼれが参加したら誰も来ないから、来るな”、なんて言ったら、参加か何かする気になるかも(笑)!まあ、期待はしてないけど(笑)。

 

XTCのメンバー全員、現在、スウィンドンに住んでいる。一緒に音楽をやるかどうか?ブラックシーとイングリッシュセトルメントのラインナップで最後のアルバムをやると聞いたら、瞬時に飛んで行くけどね。XTCの4人でやるなら良いけど、個々のメンバーのソロアルバムは参加したくない。

 

もし家出をする際にアルバム一枚とギター一本だけ持ち出すとしたら?アルバムはジミヘンのAxis: Bold as Loveだね。モノバージョンだけど。良く高いお金を出してハイファイに拘ったりする人がいるけど、自分は傷だらけのモノバージョンが好き。このアルバムはプログロックというかサイケというか。天才的。エディー・クラマーのプロデュースは素晴らしいし、ミッチ・ミッチェルのドラムも過小評価されてるけど凄い。ジミヘンに完璧のドラマーだった。ジミヘンとミッチが一緒にやるともの凄い。

 

ギターはスカイラーキングでトッドと仕事をしている時にサンフランシスコで購入した1953年ゴールド・レスポール。最初にこのギターを使ったのはDear God。ボロボロだったので弾ける状態までに修復するのにお金が掛かったけどね。あのギターを弾く度に木の部分に宿っている魔法の音色が聞こえる。ロックサウンドなんだけど、ブリッジエンドのピックアップは完璧なるロックンロールピックアップとか。ネックのピックアップはジャズにぴったり。クラッシックも弾ける。弾きやすくて、サイズも形状も完璧で。古いけど、良いパフォーマンスをしてくれる。

 

2015年にロスでのミュージックチャリティーイベント(自閉症のチャリティー)に呼ばれたんだ。様々なミュージシャンが集ってビートルズホワイトアルバムを再現するコンサートで、僕がジョージのギターを数曲で再現する担当に指名された。そこでロスでのリハーサルに参加して、同じく参加していた他のミュージシャン達に会った。その時は、“ここにいるミュージシャンの内、自分の事を知ってる人なんて何人いるかな?とにかく参加出来ただけでもラッキーだなあ。多分、僕を呼んだ理由はXTCはちょっとビートルズ風だし、僕のギタースタイルはジョージに似ているからなのかなあ”、なんて思っていたんだよね。

 

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ところが、そこにいたミュージシャンのほとんどがXTCの大ファンだったんだ。まったく思いもしなかった。彼らはXTCがまだレコードを作っていた頃、大学生だったんだ。僕は彼らより10〜15歳くらい年上に見えたから。彼らが僕を見る目は、まるで憧れ続けたビートルズのジクソーパズルのピースを見てるかのようだった。リハーサルは3日間におよんだので、時間的に余裕がタップリあった。すると誰かがXTCのMayor Of Simpletonを演奏し始めた。勿論、僕もそれに加わらなきゃいけなくて(笑)。瞬く間に大人数の熱狂的な大演奏となって!(笑)凄いありがたいと思ったね。

 

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あの瞬間から自分はみんなに知られている存在なんだと意識するようになった。それまで全く自覚がなかったからね。イギリスに帰国して、すぐにアンディに、”ロスのミュージシャンやレコーディングスタジオ関係者のXTCへの愛の深さときたら、全く想像も出来ないと思うよ!”、って言った。感謝の念と心が満たされる経験だった。同時にそれまでのXTCの苦労が報われた気持ちがした。というのも、僕らは常にハッピーなバンドだったわけじゃないからね。だって、XTCって、バンド・キャリアの悪い教訓となるバンドだからさ。(注:つまりXTCは全てにおいて成功するバンドの逆を行った。)

 

唯一XTCを救ってくれたのは間違いなく音楽の質の高さだった。独創的で、メインストリームではなく、決してプラチナ受賞するような音楽ではなかったけど、XTCは存在したんだよね。

 

インタビュアー:僕もXTCの場合、同じアルバムを色々異なるフォーマットのバージョンを買いそろえてる。”おや、また違うバージョンのスカイラーキングだな。既に持ってるけど、これは違うフォーマットだから買おう”って。XTCのレコードは僕にとって非常に大切な意味を持つから。今度はスティーブン・ウィルソンがノンサッチをリミックスしたから、これも買っておこうって。自分のポップ音楽の基盤となるのがXTCのレコードだから。他にこういうバンドはいない。デイブが少しでも、どれほどXTCのアルバムが僕らファンにとって大切な意味を持つものなのか分かってくれて良かった。作曲は優れているし、演奏も良いし。メンバー全員が優れている。20年ずっと最近出したサイケEP以外はXTCは作品を出していない。でも4人全員がいなければXTCのアルバムは作れない。

 

同意するね。僕らメンバーは結構良い組み合わせだった。音楽の事だけではない理由でこんな風にバラバラになっちゃったのは残念なことだ。でもXTCのメンバーで活動する機会をもらえて良かった。一体何人の人が僕らみたいにやりたかったことをやって、それで生計を立ててる?

 

 

テリーはオーストラリアからスウィンドンに戻ってきて以来、何度も一緒に飲みに行った。テリーとは仲違いしたことがない。

 

アンディがいなかったらXTCはありえなかった。一体いくつXTCのトリビュートバンドやコピーバンドがいることか。人々はXTCに影響を受けている。XTCはアンディ・パートリッジ無しでは存在しない。

 

コリンはテリーとのTC&Iプロジェクトはもうおしまいにしたみたい。ライブの評判は凄く良かったよ。テリーはEXTCでライブやっているよね。観客として見に行く予定はないね。会場でファンに見つかって僕のことをひそひそ話しされたくないから。コリンとは何年も会っていない。残念ながら。