XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

デイブ・グレゴリーの最新インタビュー「アンディにXTCコンベンションに一緒に参加しようと説得中」「XTCを救ってくれたのは間違いなく音楽の質の高さ。アンディ無しではXTCは存在し得なかった」

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1/2022

 

"ロスでチャリティーイベントに参加した時、参加ミュージシャンの大半がXTCの大ファンで、誰かがMayor Of Simpletonを演奏し始めると瞬く間に大人数の熱狂的な大演奏となった!彼らのXTCへの愛の深さにビックリ。それまでのXTCの苦労が報われた気持ちになった”

 

XTCとヴァージンとの契約書は”全費用はXTCが払う。全所有権は永遠にヴァージン”というものだった。それなのに、彼らはマスターテープを見つける事も出来ない。(注:XTCのPVでさえ費用はXTCが払った)

 

NonsuchとOranges & Lemonsはオリジナルよりスティーブン・ウィルソンのリミックスが優れている。

 

アンディとコリンがソングライターだから取り分が大きい。でも、もし自分がバンドのソングライターだったら、ギターソロ等の極めて楽曲への大きな寄与がある場合、自分の印税の半分を付与すると思うけどね。U2だと収入は全て平等に分けている。それで世界一裕福なバンドになった。REMも同じ。平等に分けている。トーキングヘッズは誰がどれだけ分け前をもらうのかで内輪揉めしてたよね。

 

自分は質素なんで、いつも身の丈にあった生活をしてきた。15年間は上に2つ、下に2つの部屋の家に住み、その後、25年間は今の家に住んでいる。きちんとお金を貯金してきたので、今はもっと大きな家に引っ越すこともできるけど、今の高騰している住宅事情ではそれはできない。

 

アップルヴィーナスはオーケストラ風アルバムで、ワスプスターはロックンロールアルバムとして、元々一緒に2枚組で出すアイデアだった。アップルヴィーナスのアルバムのレコーディングで、僕とアンディの仲が悪化した。1997年の話だけど。アンディがこのアルバムはオーケストラでやるって言った時、つまり僕がピアノ担当、ストリングスのスコア担当となるのかと思った。それはもの凄い時間が掛かることを意味していた。自分はやりたくなかった。仕方なく2,3ストリングスの楽譜を書いてみた。でもアンディはあまり満足しなかった。僕自身、良い出来ではないと知っていたが、やる気が出なかった。

 

アンディが頑固で、レコーディングを開始するに当たって他のメンバーと意見が合わず、困難な状況だった。その状況に関して僕らを責めたてた。それはフェアじゃないと思った。

 

チッピング・ノートンのスタジオだったんだけど、楽しく出来たアルバムではなかった。遂に僕はアンディと最後の大喧嘩をして、「もういい。好き勝手にやってくれ」と言ってスタジオを去った。二度と戻らなかった。完成したアップル・ヴィーナスのストリングスは素晴らしいよ。美しいアルバムだ。でも、アンディの“ソロ・アルバム”なんだよね。

 

ワスプ・スターは16ビットのデジタルレコーダーを使って録音したんじゃないかな。このアルバムは実は聴いたことがない。憎たらしいから意地でも聴く気にならない(笑)。でも数曲こっそり聞いて、良い曲があるのは知ってる。Maypoleを聞いて、この曲の録音に参加しなかったことをとても残念に思ったし、We’re All Lightのデモを聞いて凄い良いと思った。アンディは僕がこのプロジェクトから去ったことをいまだに許してくれていないと思う。

 

アンディともコリンとも何年も会っていない。アンディとは必要に応じてメールでメールの交換はしている。コリンとは喧嘩したんでまったく連絡を取っていない。

 

アンディがワスプスター以降、一枚もアルバムを出していないことにはガッカリしている。合計何時間にもなる曲を作ってるんだよ。でも、パラノイアになっていて…。つまり、アンディは何をやろうと、世間から、“ああ、良い作品だ。でも、XTCの作品を超えていない”と言われるのを恐れている。時間と努力を費やしてアルバムを作ったところで、XTCのアルバムほど良くないと批判されるだろうと恐れているわけ。

 

アンディは元々怠け者。作曲が大の得意だけど、そんなに努力しなくても自然に曲が湧いてくるんだ。寝ていても作れると思う。とにかく、アンディの意見に同調しやすく彼のやろうとしている方向性を理解してくれるミュージシャンを見つけて、これとこれをやってと指示出来ればアンディはレコーディング出来るんだよね。今は彼は持病の耳鳴りがあるから、ドラムキットを聴くのは辛いと思うけど。

 

なんとか、アンディに頻繁に行われているXTCコンベンションに一緒に参加して記念写真だけでもファンと撮ろうよと説得してるんだけど、ファンが大勢来てるしとか色々言い訳を付けてウンと言ってくれない。この際、リバース・サイコロジー(やるなと言われると逆にやってみたくなる心理を利用する)で、“コンベンションではアンディに会いたいファンなんていないよ”、とか、“おまえみたいな老いぼれが参加したら誰も来ないから、来るな”、なんて言ったら、参加か何かする気になるかも(笑)!まあ、期待はしてないけど(笑)。

 

XTCのメンバー全員、現在、スウィンドンに住んでいる。一緒に音楽をやるかどうか?ブラックシーとイングリッシュセトルメントのラインナップで最後のアルバムをやると聞いたら、瞬時に飛んで行くけどね。XTCの4人でやるなら良いけど、個々のメンバーのソロアルバムは参加したくない。

 

もし家出をする際にアルバム一枚とギター一本だけ持ち出すとしたら?アルバムはジミヘンのAxis: Bold as Loveだね。モノバージョンだけど。良く高いお金を出してハイファイに拘ったりする人がいるけど、自分は傷だらけのモノバージョンが好き。このアルバムはプログロックというかサイケというか。天才的。エディー・クラマーのプロデュースは素晴らしいし、ミッチ・ミッチェルのドラムも過小評価されてるけど凄い。ジミヘンに完璧のドラマーだった。ジミヘンとミッチが一緒にやるともの凄い。

 

ギターはスカイラーキングでトッドと仕事をしている時にサンフランシスコで購入した1953年ゴールド・レスポール。最初にこのギターを使ったのはDear God。ボロボロだったので弾ける状態までに修復するのにお金が掛かったけどね。あのギターを弾く度に木の部分に宿っている魔法の音色が聞こえる。ロックサウンドなんだけど、ブリッジエンドのピックアップは完璧なるロックンロールピックアップとか。ネックのピックアップはジャズにぴったり。クラッシックも弾ける。弾きやすくて、サイズも形状も完璧で。古いけど、良いパフォーマンスをしてくれる。

 

2015年にロスでのミュージックチャリティーイベント(自閉症のチャリティー)に呼ばれたんだ。様々なミュージシャンが集ってビートルズホワイトアルバムを再現するコンサートで、僕がジョージのギターを数曲で再現する担当に指名された。そこでロスでのリハーサルに参加して、同じく参加していた他のミュージシャン達に会った。その時は、“ここにいるミュージシャンの内、自分の事を知ってる人なんて何人いるかな?とにかく参加出来ただけでもラッキーだなあ。多分、僕を呼んだ理由はXTCはちょっとビートルズ風だし、僕のギタースタイルはジョージに似ているからなのかなあ”、なんて思っていたんだよね。

 

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ところが、そこにいたミュージシャンのほとんどがXTCの大ファンだったんだ。まったく思いもしなかった。彼らはXTCがまだレコードを作っていた頃、大学生だったんだ。僕は彼らより10〜15歳くらい年上に見えたから。彼らが僕を見る目は、まるで憧れ続けたビートルズのジクソーパズルのピースを見てるかのようだった。リハーサルは3日間におよんだので、時間的に余裕がタップリあった。すると誰かがXTCのMayor Of Simpletonを演奏し始めた。勿論、僕もそれに加わらなきゃいけなくて(笑)。瞬く間に大人数の熱狂的な大演奏となって!(笑)凄いありがたいと思ったね。

 

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あの瞬間から自分はみんなに知られている存在なんだと意識するようになった。それまで全く自覚がなかったからね。イギリスに帰国して、すぐにアンディに、”ロスのミュージシャンやレコーディングスタジオ関係者のXTCへの愛の深さときたら、全く想像も出来ないと思うよ!”、って言った。感謝の念と心が満たされる経験だった。同時にそれまでのXTCの苦労が報われた気持ちがした。というのも、僕らは常にハッピーなバンドだったわけじゃないからね。だって、XTCって、バンド・キャリアの悪い教訓となるバンドだからさ。(注:つまりXTCは全てにおいて成功するバンドの逆を行った。)

 

唯一XTCを救ってくれたのは間違いなく音楽の質の高さだった。独創的で、メインストリームではなく、決してプラチナ受賞するような音楽ではなかったけど、XTCは存在したんだよね。

 

インタビュアー:僕もXTCの場合、同じアルバムを色々異なるフォーマットのバージョンを買いそろえてる。”おや、また違うバージョンのスカイラーキングだな。既に持ってるけど、これは違うフォーマットだから買おう”って。XTCのレコードは僕にとって非常に大切な意味を持つから。今度はスティーブン・ウィルソンがノンサッチをリミックスしたから、これも買っておこうって。自分のポップ音楽の基盤となるのがXTCのレコードだから。他にこういうバンドはいない。デイブが少しでも、どれほどXTCのアルバムが僕らファンにとって大切な意味を持つものなのか分かってくれて良かった。作曲は優れているし、演奏も良いし。メンバー全員が優れている。20年ずっと最近出したサイケEP以外はXTCは作品を出していない。でも4人全員がいなければXTCのアルバムは作れない。

 

同意するね。僕らメンバーは結構良い組み合わせだった。音楽の事だけではない理由でこんな風にバラバラになっちゃったのは残念なことだ。でもXTCのメンバーで活動する機会をもらえて良かった。一体何人の人が僕らみたいにやりたかったことをやって、それで生計を立ててる?

 

 

テリーはオーストラリアからスウィンドンに戻ってきて以来、何度も一緒に飲みに行った。テリーとは仲違いしたことがない。

 

アンディがいなかったらXTCはありえなかった。一体いくつXTCのトリビュートバンドやコピーバンドがいることか。人々はXTCに影響を受けている。XTCはアンディ・パートリッジ無しでは存在しない。

 

コリンはテリーとのTC&Iプロジェクトはもうおしまいにしたみたい。ライブの評判は凄く良かったよ。テリーはEXTCでライブやっているよね。観客として見に行く予定はないね。会場でファンに見つかって僕のことをひそひそ話しされたくないから。コリンとは何年も会っていない。残念ながら。