XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

アンディ・パートリッジ最新インタビュー「トッドはスカイラーキングのマスターテープを持っていないと言い張ったが、XTCファンの“スパイ”(笑)が撮ったトッドのスタジオの棚に映っていたのは?!」「来年から"私の失敗したクリスマスソングキャリア”、“私の失敗した図書館用ミュージックキャリア”等続々と出る」

https://open.spotify.com/show/6he7f9FnfO5ePPTpNnDGWj?si=f8bb03534f594802

 

”失敗... それは何にも代えがたいものだった。XTCにとって非常に良いことだった。僕自身に対しても”

 

アンディ・パートリッジが近況を含めXTCについて語る(収録時は今年2021年の秋頃と思われる)

ポッドキャスター/インタビュアー:ポール・マイヤーズ(カナダの作家、ジャーナリスト、ミュージシャン、ソングライター。俳優のマイク・マイヤーズのお兄さん)

 

以下、アンディの発言の要約を翻訳しました。

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:最初にアンディがポールさんへ捧げる歌をギターで即興で歌う:

 

アンディ:この年齢になって気が付いたのは、左の耳が右より悪い

 

ポール:レコード会社のトイレでばったりアンディと会ったんです。アンディに握手をして貰おうと手を差し出したら「トイレから出てやろう。ここは猫を振り回せるほど広くないからね」と言われたんです。(原語“There’s no enough room to swing a cat in here”)なんてクールな言い方かと感心しました。その後、アンディは僕にレコード会社のプロモ見本盤This World Overのポストカード付きの12インチや7インチレコードをくれたんですよね。

 

アンディ:その当時、1ヶ月後にDukes of Stratosphearがリリースされた。でも匿名バンドにする予定だったからポールには言わなかった。ヴァージンが不満だったのは、XTCはポップ性が十分でない。かといって奇妙さも足りない。僕らは当時バージンで人気があったヘブン17みたいじゃなかった。彼らのバンド名前は『時計仕掛けのオレンジ』から取られてるけど、僕がリリースした『ファジーワーブル』も『時計仕掛けのオレンジ』から取ったんだよね。“レコード”という意味。

 

『私の成功しなかった作曲キャリア』のジャケットについて、みんなから聞かれるんだけど、これはメンコのつもりなんだよ。メンコというのは日本の子供のカードゲーム。メンコはとても美しい。

このジャケットの絵は2本の指。もう一つは一本の指だから、トランプのように遊べるゲーム。メンコ一枚づつ、各曲を表現している。ポッドキャストなので見せられないが、このレコードを買えば見れるよ。今、売れ切れ中。ビニールレコードプレス工場が1年くらい遅延している。

 

二週間前にこのレコードはイギリスで売上NO1だった。67歳だぜ。67でNo.1なんてありえないだろ。このシリーズはこれからVol.2が出るし、その続きも大量に出る。

 

My Failed Songwriting Career - Volume 1 EP 

http://My Failed Songwriting Career - Volume 1 EP https://burningshed.com/andy-partridge_my-failed-songwriting-career_vinyl#.YcuHvJKvR4w.twitter

 

 

アンディ:『私の失敗したロックンロールキャリア』というタイトル等。少なくとも他人に書いた4曲のロックンロール曲がある。フィフティーズ調のロックンロールソングを書いてくれと依頼されたから。『私の失敗したクリスマスソングキャリア』は2枚分ある。一枚目は本当は今年(2021年)のクリスマス用に出す予定がレコードプレス工場の遅延のせいで出せないようなので、来年(2022年)の秋に出す。

 

更に『私の失敗した図書館用ミュージックキャリア』というのもあって、これはEP盤ではなく、アルバム盤となる。

 

ポール:これはイーノがやった空港BGMみたいな奴?

 

アンディ:アンビエントって言ったら僕にとっては侮辱だからそう呼ばない。テーマソングの真似を試みたわけ。曲を依頼した人がサッカー試合で掛かる伝統的なテーマソングに飽き飽きしてると言って、でっかいドラムサウンドのトレバーホーン風80年代テーマソングが欲しいと。”Who’s Afraid of Big Bad Beat?”という曲を作って短くしてインストにした。「疑似オペラ」だと言われてボツにされた。このような“ラブリー”なボツ曲が大量あるわけ。

 

『ホモサファリシリーズ』については、“アンビエント”という言葉は誤解されがち。ブラックサバスの音量を十分下げればアンビエントミュージックになるよ。“アンビエント”というジャンル名が大嫌い。ハロルド・バッドについては、『コニーアイランド』のドキュメンタリーの挿入曲だったXTCのサファリシリーズの「フロスト・サーカス」を誰かがハロルドに聞かせた。それで彼が気に入って僕に連絡してきた。僕らは直ぐに意気投合した。彼も“アンビエント”というジャンル名が嫌いだった。八音階の音楽の罠に落ちることはなかった。僕の『パワーズ』(2010年リリースの“エクスペリメンタル/アンビエント・ミュージック作品”と呼ばれるアルバム)もその罠に落ちなかった。

 

失敗... それは何にも代えがたいものだった。XTCにとって非常に良いことだった。僕自身に対しても。失敗のお陰で常に挑戦出来た。アルバムを作る度に誰も買ってくれない。音楽評論家から賞賛されるが、実際には誰も買ってくれない。失敗だ。“うわー、よし次のアルバムではもっと良い曲を作り、もっと良いレコーディングで、もっと良いミックスで、もっと良い演奏で頑張るぞ”。また新しいアルバムを出す。評論家は誉めちぎる。誰も買わない。また失敗した。

XTCの音楽キャリアは一貫してその繰り返しだった。僕は常に次の作品を優れたものにしてやるぞという気持ちでやってきた。失敗感につきまとわれていなかったら、そういうスイッチが入ることはなかった。だから自分にとって失敗は本当に幸いなことだった。

 

僕は「失敗」の文字が書かれた電池を背負ったデュラセル・バニーだった。(注:エネルギー消費しまくっても電池切れしない「デュラセル」のうさぎキャラクター)失敗が原動力だった。

 

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ポール:現在、XTCは若い世代を含めあらゆる世代のファンに崇められている。中には“XTCの事知ってるのか?俺はXTCのことなら何でも知ってるぞみたいなマウントを取る“XTC博士”みたいなファンもいる。世界中から求愛されてる現状をどう思ってる?

 

アンディ:あの頃のXTCは、今の自分とは別の世界。あの痙攣みたいなコードをギターで痙攣してるみたいに弾いてるしゃっくりしてるみたいなボーカルのオドオドしたフサフサ髪のガキは誰?みたいな。しかもスーパー・タイトな演奏のバンドで。すごく変な感覚。なんと言ったら良いか。“夢精”と言うか、奇妙な夢って感じ。奇妙すぎて何度も目が覚めちゃう夢みたいな。

 

ポール:いつ再結成するのかと聞かれるのには飽き飽きですか?

 

アンディ:参ってる。それってちょっと侮辱だよねって。XTCは30年間?だっけ?一緒にやってきたのは?数学が苦手で。77年にアルバムデビューで2000年がラストアルバムだったから..。

 

ポール:少なくとも22年間。

 

アンディ:だよね。なのにファンに “(アメリカ人の鼻声を真似て)ねえ、再結成はいつ?”って聞かれるんだよね。

あのさ、一体、何枚アルバムを出せば、何枚シングルを出せば、何枚EPを出せば、何枚サイドプロジェクトを出せば、何枚他のプロジェクトを出せば良いの?だから、宝がぎっしり詰まった洞穴ごと君らにあげたってば(笑)

再結成について聞かれるのは、元妻とよりを戻せって言われてるのと同じくらい酷い。

 

ポール:そうは言ってもアンディ自身が故意ではないとしても、ファンに対してXTCは解散したとは言わず、凍結中みたいな表現してファンを焦らして、変な期待を持たせてるところもあるのでは?

 

アンディ:法律上は僕とコリン間ではバンドは解散していない。(印税上の理由で?)一部はそうだが、僕らはアップルヴィーナス(Vol1&2)以外はXTCの作品の所有権はないが。ユニバーサルが永久に全所有権を持っている。XTCの5.1サラウンドシリーズのためにユニバーサルはXTCに所有権を一時リースさせてくれてる。ユニバーサルは、アルバム利益率5%に8%上乗せして取るから僕らメンバーより儲かっている。

 

マスターテープの紛失に関しては、イングリッシュセトルメントのマスターズは全部見つかっていない、ママーとビッグエクスプレスはいまだに完全に紛失中。

ショックなことに、アップルヴィーナスをサラウンド化するにあたり必要なデジタル録音が困難だということが先週分かった。フォーマットの問題。すごい落胆した。(注:これについては下記のスティーブン・ウィルソンのインタビュー過去記事を参考。)

 

xtc-the-best-band-ever.hatenablog.com

 

 

でも時々、予想しないところで良いことが起こったりする。あなた(ポール)の友達、トッド・ラングレンはずっとスカイラーキングのマスターテープは彼のスタジオには保管されていないと言い張っていた。何度か彼に聞いたんだけど「持っていない」と否定された。ところが、以前、僕らのファンがトッド・ラングレンに会いに行って、許可を貰ってスタジオを見せてもらい、中の写真を撮ったんだけど、そこに棚に並ぶテープが映っていて、そこにスカイラーキングのテープがばっちり映っていたわけ。それで最終的にたどり着いたのがNYのキャピトルレコードの金庫に保管されていた。

 

ポール:優秀なスパイがいてくれて良かったですね(笑)

 

アンディ:意図していなかったが、僕らのファンがスパイになってくれた。彼女が「ほら、この棚に映ってるのを見て!」と写真を送ってくれた。

サラウンド化するのにスカイラーキングのマスターテープはかなりカットしないといけなかった。営業部の人間に聞かせるための部分をカットした。

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続きはそのうちPart 2で....。

おまけ:50:00くらいのところでアンディがJumpのイントロをアコギで弾く。その後、Shining Karmaをちょこっと歌っている。