XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

Mummerの当初のタイトルは“楽園から堕ちた者達”だった。アルバムジャケットは果物の頭をした4人が美しい園から追放されてる絵にするはずだった”- アンディ・パートリッジのインタビュー

2002年9月12日

 

アンディ・パートリッジのインタビュー:Mummerのアルバムジャケットアートについて

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WL: 今度はMummerのジャケットについて - 確か、当初このアルバムのタイトルはFruits Fallen From...とかいう....

 

AP: そうです。いくつかのコンビでした。 最初は、Fallen From The Garden(楽園から堕ちた者達)か、Fruits Fallen From The Garden(楽園から堕ちた果実)だったんですよ。 でも、多分、Fallen From The Gardenにしたかったはずですね。というのも、Fruits Fallen From The Gardenの”fruits"(果実達)の場合、僕ら思ったのが “ちょっと待てよ、なんだか俺たちみんなゲイか、なんかと思われるだろ?”

 

それで、アーチストのデイブドラゴンに相談した。 Ken AnselとDave Dragonの二人はDesign Clinicのアーチストで、僕のアイデアの"通訳"を務めてくれていたんですよ。 二人が家に来てくれて、台所のテーブルに何枚もの紙を広げたわけ。

 

僕は次から次へとスケッチして、彼らはスタジオへ持って帰るわけ。それで、出来上がった段階の絵を持って戻って来てくれるわけです。 The Manorで、後に”Mummer”になるアルバムをレコーディング中に彼らが訪れてくれたんですが、そこで僕が“このアルバムのタイトルをFallen From the Gardenにしようと思っている”と告げたんです。 “罪を犯して神の恩寵を失う”という感じがイメージが気に入ったんですね。 僕らXTCは、ある美しい世界から追放された奴らなわけ。

 

すると、彼らは1週間か、そこいらで、12インチモックアップのアルバムスリーブを持ってきてくれたんですが、それがちょっと滑稽過ぎてね。彼らに頼んだのは、“僕らの頭がひとつづつ果物になったみたいにしてくれないか?”って。 何をしたかったのかと言うと、果物の匂いを付けたかったんです 香料入りのボール紙を使用するつもりだったんですね。

 

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WL: こすって匂いを嗅ぐみたいな。

 

AP: うーん、そんな感じ。 段ボールシートの内側にレモン、りんご、オレンジ、いちごとかの香料を染み込ませるわけ。 それで、アルバムを手にする人がどの匂いがするか、ランダムに選べるってわけ。 でも、彼らが描いた絵が嫌だったんです。 なんだか、あまりにも --- うーん、なんて言っていいか。 あまりにも、可愛い過ぎて、ちょっと馬鹿みたい。

 

ええ、あるアーチストの絵の感じにしようとしたんですが.... 名前なんだっけ? Patrickという名で仕事をしていた人です。 彼は素朴派を真似たアーチストだった。

 

The Beatles Illustrated Lyrics(イラスト付のビートルズの歌詞集)って本知っていますか?

 

WL: はい。

 

AP: ヴィクトリア朝の子供達の姿でBeatlesが芝生に座っている絵を知ってますか?

 

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WL: はい、はい。

 

AP: あれがパトリック。 でも実は、何とかByrne(John Byrne)という作家なんです。 スコットランドの人。 “偽り”の素朴派の画家みたいなキャリアも持っていたんですよ。

 

あのPatrickが描いたBeatlesの絵がちょっと気に入っていて、 “ああいうスタイルの絵に出来るかな? でも、僕らの顔の代わりに、果物にしてほしい。”

 

でも、出来上がった絵は、あまりにもキュート過ぎ、あまりにも子供の絵本みたいだった。それで、“これじゃあ、だめだ。あまりに多くのメタファーが混在している。” 匂いのするアルバムジャケット、フルーツの頭、楽園から追放されてる俺たち。” わかります?そういう感じのもの。 純真さの喪失等々。

 

Mummerというアイデアが浮かんだのは、ある日、トイレでクソをしてた時。 (笑)ほら、みんなもするでしょう、本を1冊手にトイレに入るって。その日、僕が手にしたのは… 待って、どの本だったか今教えるね。 ちょっと待って。探してみます。

 

WL: OK。

 

AP: (すぐに戻って) だめだ、見えない。 (本箱の)上の方にあるんですが。 それは、50年代の百科事典だったんですよ。 子供の百科事典。 それで、クソをしながら考えてたんですよ、“このアルバムのタイトルは何にしよう?” 俺たちの服は何を着たらいいんだろう?” すると、その本にママー(無言劇の役者達)の小さなイラストが載っていて、“おおー、そうか、すごい奇妙なカッコだなあ。”って思ったんですよ。 そこに書いてあったママーについて読んで、“へー、これは興味をそそられる。”って思ったんですね。 それで、Swindonの地元の図書館に行ったんです。 無言劇役者や、無言劇についての本が地元で発行されていたんです。

 

無言劇の歴史っていうべき本でした。 非常に気に入ったわけ。 無言劇役者は、みんな普通の人だったというのが気に入ったんですね。だから、例えば、あらゆる職業や商売の人達ですよ。 彼らが年に一度だけ古風なミュージカルを演技するんですよ。コスチュームを着て。 コスチュームは自分たちのハンドメイドなんですよ。 しかも、新聞や、ぼろきれなんかで作るんです。

 

すごく空想的なイメージ。 古い年の死、そして復活、新しい年の誕生と関係しているわけ。 そういうくっだらねえことが好きなんですね。 (大笑い)いや、本当にそういうイメージが大好きなんですよ。 “これは素晴らしい。”と思ったわけ。

 

それで、バージンレコードにママーのことを説明したところ、彼らは“オーノー!姿を隠すわけ?” 僕は、“そう、写っているのは僕たちなんだけど、顔中、細長い紙切れ等でくまなく覆われているから誰にも僕らの顔は見えない。”と説明したんです。 バージンはそのコスチュームでアルバムジャケットの撮影を同意してくれたんですが、 彼らは、出来上がった写真を見るなり、“ノー、これはダメだ。”

 

(笑)でも、もうレコードリリースも間近に控えていたんです。 それで、残念なことに、Mummerのジャケットの写真をギリギリで急いで撮ることになってしまった。自分が望んでいたのは、ママーのコスチュームを着た僕らのモノクロ写真でした。 でも、もう時間がないため、どたん場のアイデアを思い付いた。 “紙人形だ。”

 

“紙か何かを切り抜いてくれるかな、荒っぽく。そうすれば、まるで僕ら3人みたいに見えるだろ?” 先の尖った帽子や、円錐形の帽子とかも切り抜いて。 とにかく、明日必要だからというぐらい急いでやったわけです。 だから、アルバムジャケットの出来には満足してないですね。 モノクロ写真になるはずだったんですよ”

 

*アンディが親切にママーのコスチュームの作り方を説明!

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