XTC Best Band Ever

XTC is the best band ever. Period.

今年の3月のトッドラングレンのインタビュー:XTCについて語る ”僕はXTC大ファンだったからプロデューサーの依頼を受ける前から彼らのサウンドの何が良くて何がダメなのか良く分かってた”

Todd Rungren talks Skylarking and XTC

 

数ヶ月前に話題に上がったトッドのPodcastインタビュー書き起こし訳:

 

”僕はXTC大ファンで、彼らの作品を聞いていた。だからこそプロデューサーの依頼を受ける前から彼らの音楽の良さと同時に彼らのサウンドの何が間違ってるのかが良く分かってた” 

(注1)私は彼の発言に同意しているわけではありません。単に訳しているだけです。

(注2)アンディと仲違いしたプロデューサーはトッドとガスダジョン二人だけです。特に、スティーリリーホワイトは未だに「今まで会ったアーチストの中でも最も才能のある一人」とアンディのことを褒めているし、ジョンレッキーとは今でも食事をしたりしているし、デビッドロードも先日アンディの本のサイン会に来た。

(注3)長いので、出来るだけ一語一句全部訳すようにしましたが、誤って漏れた部分、あるいは冗長なので省いた部分、重要でないので故意に省いた部分もありますことをご了承ください。

 

トッド:レコード会社からプロデュースの依頼がありXTCのレコードの売り上げがどんどん下がってきていると。僕はXTCのバンドの歴史のことは良く知っていた。XTCの大ファンだったから。アンディはステージ恐怖症でライブを停止した。彼はプロデューサーを困らせることで有名だった。執拗に細かい所まで命令をしたりして。 

僕はXTCが好きだったが、同時に彼らのレコードの何が悪いのかがわかってた。彼らのアルバムを良く聞いてたからね。原因はXTCがライブを止めてアンディが暇を持て余してたから。アルバムを一枚出すと、もう次のアルバムに取り掛かろうとしてる。普通はみんなアルバムを出すとそのアルバムのライブをやりに出るわけ。でも、彼らは時間を持て余していたから、アルバム制作にどんなに長い時間を掛けようと彼らは気にしなかった。少なくともアンディは。

当時、XTCが出すアルバムを聴いてるとわかるのは、どんどん酷く凝っちゃっているわけ。サウンドが悪化してきているわけ。その理由は多くの人にはわからないだろうが、音響心理学というものがある。それは実際に聴こえている音楽とは何の関係もないのだが、何かというと、サウンドが聴いている者に与える心理的ストレスのことを言う。例えば、ヴォーカルをちょっとある一定の聴きにくいレベルにミックスする。すると音響心理学的に見えにくい何かを見ようとして目を細めないといけないわけ。

アンディのアルバム制作過程は、スタジオで1日曲をミックスして、家で再度聞いて、その曲に他に何か出来ることはないか見つけようとするわけ。それで次の日までには、ちゃんとそれを見つけてるわけ。それは通常、曲に残されている空間を取り除く作業を示している。彼はその空間をサウンドでもっと埋めてしまうわけ。「ハイハットの高音の高さが足りないから、もっと高くしよう」とか、「ベースの低音の低さが足りないからもっと低くしよう」とか。もし、スペクトルアナライザを見てみると、完全に波形が平らになっちゃってる(爆笑)!

曲の中の全ての隙間がサウンドでぎっしり埋まってしまっている。それが聴く方にとっていかに聴き辛いものか気づいていない!というのは、聴く方は常に音を聞き分けようとして必死に神経を研ぎ澄ませて聞いてるんだから。XTCは、それに気がついてあげてない状態だったんだよね。 

まあ、でも、ちょうど幸いにも、ちょうど彼らは立場的に弱い状況にあった。(つまり、プロデューサーの言うことを聞かなければならない状況にあった。)彼らはアルバムが売れなくなっており、レーベルから次のアルバムが売れなければ処分するみたいに言われてしまっていた時で、途方に暮れていた。(プロデュースする側の言うことを聞いて売れるアルバムを作ってもらうしかなかった。)

それで、デモを送ってきてくれて、聞いてると歌のサイクルのアイデアが浮かんだ。夜明けから夕方までのコンセプトアルバムというアイデア。1日を物語るコンセプト、あるいは、1週間、一ヶ月、一年、一生。。。旅をするわけ。様々な経験を経て、ある場所からある場所へと移りゆく。レコーディングに入る前に全てを綿密にプランを立てた。曲を1曲も録音しない前にテンポ、曲順全てを自分が決定しておいた。実

際のテンポ、オーバダブ、スウィングはサンフランシスコへ行って録って、のちにドラムやオーケストラを。そのあとウッドストックに戻りヴォーカルを録った。でも、基本的には僕が全部決めた。どのようなアルバムにするかを。XTCはそういうやり方には慣れていなかったわけ。 

インタビュア:バンドはトッドが決めたやり方が正しいと信じてくれたのか?

トッド:バンドの6割はね。アンディは全然信じてくれなかった。

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XTCのサラウンドシリーズ担当のスティーブンウィルソンは筋金入りXTCマニア。同じくXTC大ファンだった(過去形)トッドラングレンがプロデュースしたスカイラーキングを5.1化するのが長年の夢だった。今回それが実現。サラウンド版スカイラーキング(Bluray+CD)は10月~クリスマス前にリリース予定。

アンディとコリンのデモ合計42トラックも含まれる予定。デモの形のスカイラーキングのアルバム。他のトラックも含む。楽しみですね〜!